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3.浮きの形状と特性

第3章は浮きの形状と特性についてです。仕事の関係でずいぶん間が空いてしまいましたが、連載3回目になります。

 この章では、浮きの形状による挙動の特性を理解し、釣り場の状況に適した浮きを選択する方法について考察します。
 最近、円錐浮きを使用する人が増え、棒浮き愛好者が減少しているようですが、感度という点からすればやはり棒浮きの方が優れています。それは前の章で考察したように喫水線付近の形状を細くすることで、高感度に仕上げることができるからです。ではなぜ棒浮きではなく円錐浮きの愛好者が多いのでしょう。

 一部の魚(カワハギ、海タナゴなど)を除けは、海の魚は移動しながら捕食する、もしくは捕食後に移動する物が多いという点から、浮きに対する当りの出かたが大きくなる傾向にあります。このため特殊な条件下を除けば、多少感度が悪い浮きでも釣になります。従って高感度を求めた棒浮きを使用しなくても、ある程度の釣果を得られるという点が大きな要素になると考えられます。

 さらに棒浮きには致命的な欠陥もあります。その最大の物は「手前当り」でしょう。「手前当り」というのは、道糸を張って浮きを引っ張ることによって浮きが沈んでしまい、これを当りと勘違いするという現象で、棒浮きを使用している上で避けて通れない特性です。風や水流によって糸が張ってしまっただけで、本人が気がつかないうちにこの現象に陥っている事もあり、「当りがあるのに針に乗らない。どうしてだろう」と本気で悩んでしまったりします。

 最近のメジナ釣では、仕掛けに張りを持たせたり、誘いをかけたり、流れに乗せて沖に出すなど道糸を張ることが多く、この操作をするのに棒浮きの弱点がもろに出てしまい、そんな理由から円錐浮きを使用する人が増えている、といっても過言ではないと思われます。

 私も最近棒浮きをあまり使わなくなりました。しかしたまに使ってみるとその当りの出かたが自然で、非常に微妙になり、餌取りが餌をつついている動きまで、鮮明に捕らえることができ、やはり感度の点では棒浮きが一番だと再認識しています。

 さて、この棒浮きの特性をよく理解することで、ある条件下では円錐浮きより格段に優れていると言い切ることができますが、しかし問題は汎用性という点にあるのでしょう。やはりどのような条件下でもある程度の結果が得られ、どのような条件下でも同様の操作方法で済む円錐浮きは、現在のメジナを中心とする磯の上物釣には最適のアイテムといえるのでしょう。

 同じ円錐浮き同士、棒浮き同士でも、その形状によって特性もずいぶん変わってきます。上膨らみ・下膨らみの違い、太さ、長さの違い、重さの違いなど様々な形状の浮きが市販されていますが、それぞれに長所・短所があり、使用目的も違ってきます。
 多くは使用目的が決定すれば必然的に決定される要素で、たとえば風の中でも遠投がしたいのであれば自重を重く、渋い当りを拾いたいのであれば残浮力を小さくといった具合です。ただそのなかで上膨らみ・下膨らみの形状の違いはどのように出てくるのでしょう。

 これは主に揺れや振れ、ブレといった使用感覚に大きな影響があります。浮きには重量重心と浮力中心がありますが、この両方の位置が近ければ近いほど、浮きに外部からかかる力(風・波など)に対しての挙動が大きくなります。つまり揺れや振れが大きくなります。
 重量重心は埋め込む錘の重さや位置などによって修正しますが、浮力中心は浮きの形状(上膨らみ・下膨らみ)で修正します。形状が上膨らみに近いほど浮力中心の位置が上になり、重量重心との距離を広げることができ、挙動を安定させることができます。


 また浮きを自作される場合には、形状の違い以外にもカラーリングなどの要素もありますが、これは概ね作者の好みが反映されるようで、見やすい色、オリジナリティーのあるカラーリングにしておけば問題はないでしょう。一説によれば、魚からは浮きをどのような色にしようがよく見えているそうで、ただ魚にはそれが自分たちを捕獲するための道具であるという認識はないということのようです。
 そうであるなら浮きのカラーリングは、それこそ作者の発想次第で、いかようでもいいということになります。確かにいろいろな色の浮きが市販されていますが、こと浮きに関してはこの色は釣れるとか、この色だと釣れないといった話しは聞いたことがありません。カラーリングに対していろいろな能書きをした物もありますが、ほとんどが自己満足の世界ではないでしょうか?

 どうせ浮きを自作するなら、形状もカラーリングもうんと個性を出したものでいいと思います。基本的な要素を外さなければ、きっとそれなりの釣果を得られるでしょう。いろいろと挑戦してみてください。

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