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1.円錐浮きと棒浮きの違い

 さてさて数年ぶりに続編を執筆することにしました。
一時期円錐浮き作りに傾注したのですが、結局結論として学んだのは「円錐浮きは手間をかけて作るより買った方が余程安くて性能が良い」でした。それに円錐浮きにはもうあまりオリジナリティを出す余地がないというのが実際のところでしょうか。
 そこで1年ほど前から再び棒浮き作りに戻るようになりました。以下の本文でも書いてますが、円錐浮きの方が断然使い勝手が良くて、いろいろな場面で使いこなせます。
 しかし自作浮きにはやはりオリジナリティが存分に発揮できる棒浮きの方がふさわしいと思い直した次第です。

 さらに決定的な事情は、最近歳のせいか視力が落ちてまして、棒浮きも見難くなって来たもんで、何とか視認性の良い浮きは作れないものかというのも理由の一つですね。
 あとは安いインナーロッドを使っているもので、だんだん糸の出が悪くなって、仕掛けの飛びが悪くなり、狙ったポイントを責められないと言う悩みも抱えていました。

 そこで第2部では、「機能に特化した浮き作り」と言うことで、遠投性・視認性・高負荷に特化した2007年モデルの紹介と、その改良型で視認性を確保したまま感度を高めた2008年モデルの製作過程を紹介します。

と、その前にちょっと復習・・・

何故円錐浮きの方が使い易いか?
 基本的に円錐浮きも棒浮きも、浮きに掛かる力、浮力と感度といった物理的な作用の点ではさしたる差はありません。ところが操作性という点ではかなりの違いがあり、まるで別物といってもいいかもしれません。
2007年バージョン

 棒浮きは感度が良いといった特性から、小さな魚信(アタリ)を捉えることが可能ですが、それは比較的海面の静かな状態や、風などの影響の少ない環境下で効果を発揮します。またその効果が最大限に発揮されるのは、浮きより下の針までの糸がピンと張った状態でのみ有効です。
 針につけた餌を魚がつついた動きが糸を経由して浮きに直接働きかけることが必要です。これは一見極あたりまえのことですが、仕掛けの落ちる途中や、また潮が揉んでいて糸が緩んだ状態の時には浮きに魚信が出ないということです。

 つまり、棒浮きの性能を最大限に発揮する状況は、波・風が比較的穏やかで、浮きから下の仕掛けが真っ直ぐに立った状態で糸がピンと伸びていること、浮き自身も適正負荷を背負って最適な喫水を保持していること、が必要となります。
 これは淡水におけるヘラブナ釣りの状況に近く、海水では波止釣りなど波の穏やかな状況に当てはまります。

 この棒浮きの特性は、「待ちの釣り」と言ってもいいかと思います。仕掛けを立たせ、小さな魚信を逃さず拾う待ちの釣りです。
 セットした深さで餌を宙吊り状態にし、魚がそれを食ってくるのを待つという受動的な釣りと言えるかもしれません。

 ところが最近のスレたメジナたちは、止まったままの餌を無視することも多く、結局ベラやキタマクラ、海タナゴといった餌取たちの格好のご飯となってしまうことが少なくありません。
 このスレたメジナたちに口を使わせるためには、自然に漂う餌が有効なようで、オモリを使わないふかせ状態の餌に良く食ってきます。
 このようなふかせ状態では、棒浮きはただの木切れと一緒で、浮きとしての機能をしていません。なにしろ糸が張っていませんから、魚が餌をつついても浮きまでその動きが伝わりません。
 それなら道糸を張って仕掛け全体に張りを持たせればいいのですが、すると棒浮きの特性である「手前アタリ」の現象で、浮きが沈んでしまいます。

 まあ物には加減というものがありますから、「手前アタリ」にならない程度の加減で仕掛けに張りを持たせることも可能ですけど・・・

自作円錐浮き(ハードコート)
 円錐浮きでは、道糸の出口が浮き上部にあることから、糸を張った状態にしても「手前アタリ」が出ません。そこで仕掛け全体に張りを持たせたまま、自然に沈めていくことが可能になります。仕掛け全体が張っていますから、魚信が浮きに出なくても、糸を伝わって竿先に直接伝わってきます。
 つまり円錐浮きは単に魚信を取る道具というだけではなく、餌を飛ばす・運ぶ、餌がどの辺にあり、どのような状況になっているかを知るための道具、というように考えた方が合理的だと言えるかも知れません。

 魚信は浮きに出るもの、魚信があれば浮きが沈む、といった固定観念の元、いかに高感度に仕上げるか、小さな魚信をいかに拾うかに全精力を傾けていましたが、浮きを単に目印として考え、餌を飛ばす、餌を運ぶ道具として捕らえることにより、釣りのスタイルそのものが変わる程の変化があります。


では何故また棒浮きか?
 では何故円錐浮きを自作せずに、またまた棒浮きばかり作るのかと言うことですよね(~_~;)
一番の理由はやはり自作の道具で魚の魚信を捕らえることができる。魚が掛かった事を自作の道具が教えてくれると言う自己満足でしょうか。
 それに円錐浮きは、浮力や重量の調整こそいろいろありますが、後は色を変えたり、形を変えたりしても、使っていてあまり代わり映えしない、というか、私らレジャーフィッシングレベルでは性能に変化を感じないんです。

 折角いろいろ苦労して作ってみたものの、市販の浮きの方が余程安くて使い易かったりするんですよね。これじゃ苦労する甲斐がないと言うか・・・(~_~;)
またデザイン的にもあまりオリジナリティーを出す余地がないとも言えると思います。
 そこへいくと棒浮きは本体の長さ・太さ・色・形・重さ、それに目印部分の形・色・材質など、オリジナリティを出せる要素がふんだんにあります。
 まあ結局は自己満足の世界ではあるんですけど、自作浮きの自作浮きたる由縁はこの自己満足に他ならないのではないでしょうか。

 決定的なことはやはり魚信は浮きの動きで拾いたいという事ですよね。自作の浮きが海面からスッと消えていき、合わせた時にずっしり魚の重みが伝わってきた瞬間は、なんとも気持ちの良いものです。自分の道具で魚を釣ったという満足感を感じられるところが魅力です。

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