TOPページ  > MENUページ  > 雑談メニュー  > 毒魚のこと

毒魚の痛みとの戦い

 一言で外道といいますが、この魚が外道というものではなく、その時の対象魚以外はすべて外道になるわけです。メジナを狙っているときに黒鯛が掛かれば外道だし、逆に黒鯛狙いでメジナが釣れれば下道になっちゃいます。こんな外道ならいつでも歓迎です。外道大王といわれようが大歓迎です。
 そんな中で、いつでも何処でも外道というかわいそうな魚もいます。キタマクラなんかがその手の魚でしょう。掛かってもほとんど引かないし、ハリスを噛み切るし、オモリまでかじるし、何処からともなく大量に湧いてくるし、餌を取るのが上手だし、見た目が悪いし、名前も悪いし、フニャフニャしてて手触りが悪いし、プクッと膨れるし、グーグー鳴くし、食べられないし、とまあ数え上げればキリがないほどの、いろいろな文句が出てきます。

 あとは地方によっては外道ではないんですが、関東では毛嫌いされているベラとかアイゴとかもいますね。特にアイゴはひれに毒があるので、釣れると困ります。釣るには非常に面白い魚ですが・・・
 そういえば毒のある魚にもいろいろあって、ご存知フグのように身に毒があって食べると危ない魚とか、アイゴ、ハオコゼなんかのひれに毒かあって、釣るだけで危ない魚とかいますよね。聞くところによると、オニカサゴ(高級根魚の代表格)のひれには猛毒があって、その毒はハブやコブラ以上に強力だということです。ただ毒の量が少ないので何とかなるみたいです。

 自慢ではないんですが、私はこれらの毒魚に刺されるという豊富な経験を有しています。(幸いにもオニカサゴにはやられたことないです)
 その豊富な経験(えばれる事か)から言えば、毒魚というだけあって、どれもなかなかの痛さで、甲乙つけがたいのですが、その中で見た目がかわいくてこれが毒魚?といったタイプのハオコゼからご紹介しましょう。

 大きさはせいぜい5cmくらいで、色は茶褐色、体のわりに背鰭が長く、しかも顔より前まで飛び出していて、イカにも毒を持ってるよーといった雰囲気です。岩礁帯から堤防まで砂地以外は何処にでもいます。特に堤防では壁のちょっとした隙間に潜んでいて、目の前に餌が落ちてくると飛び出してきて捕食します。これがファミリーフィッシングの特に子供の目に付き、必死で釣り上げようとします。ところがこの魚、こういう性格ですから、目の前に餌が落ちてくると反射的に飛びつき、結局簡単に釣られてしまいます。

 何も知らない子供は、狙った魚が狙いどおり釣れたもので、大喜びで父親に見せに行きます。父親は子供が釣ってきたのが、ハオコゼという毒魚であることはよく知っていますので、慎重に針からはずそうとしますが、魚が暴れた拍子に指を刺されてしまいます。
 毒魚の痛みというのは、焼けた火箸を差し込まれたような痛みで、瞬時に猛烈に痛みます。思わずうめいて(恥ずかしいのであまり大声を出せない)傷口を咥えて毒を吸い出そうとしますが、もう手遅れです。それから5〜6時間は、毒魚を釣ってきた子供の事を心の底から呪います。(こんな感じで痛みの程度が分かって頂けますか?)

 まあこの親子が何処の親子であるかは別にして、ハオコゼが釣れたら下手なことはせずに、すぐに糸を切った方が良いでしょう。

 次に紹介するのはアイゴです。この魚は結構群れで泳いでいて、一匹釣れると次々と掛かることがあるので要注意です。ただし餌を取るのがうまいので、狙って釣るのはかなり難しいです。
 大きさは40cm以上になる物も珍しくなく、そういったサイズも結構釣れます。ただよく釣れるのは25cmぐらいでしょうか。色は迷彩色のような黄色掛かった茶色のまだらで、白っぽい斑点があります。姿はごく一般的な魚の形ですが、背鰭が頭のすぐ後ろから出ていて、とげとげしています。この魚も背鰭が前にまで向いて出ていますので、いかにも毒魚といった貫禄があります。

 この魚は釣る分には面白く、馬鹿みたいに引いて、底無しの持久力で逃げ回ります。40cmクラスになると竿が折れそうなほどの引きをしますが、メジナと違いガクガクと竿を叩くような下品な引き方です。
 しかも初めはあちこち走り回り、途中からは単純に下へ下へと絞り込むだけです。その点でもメジナのほうが知的な引き方といえますか・・・さらにいよいよ魚体が見えてきたとき、あまりに色が汚いので、目いっぱいがっかりします。
 堤防などで、子供が掛けるとどんな大物が掛かったかとわくわくします。しょうがなく父親がタモですくって針をはずそうとしますが、毒魚であることは十分承知していますので、足で踏んづけておいて、暴れないようにしておいてハリスを切ります。下手に針を外そうなんてことを考えると、前出の父親のように数時間の間、子供を呪わなければなりませんから。

 ところが子供がせっかく釣った大物ですから、せめて大きさだけでも計っておこう、なんて考えるから悲劇が起こるんです。なにせ父親は子供の前では自称釣り名人ですから、魚のサイズを測るのにメジャーなんか使いません。手のひらをひろげて親指から小指までが、20cmジャストであることを熟知しているのです。
 幸いアイゴは背鰭、腹鰭、尻鰭には毒があっても胸鰭には毒がない(と思いこんでいた)ので、横から触る分には安全のはずです。そこで得意の手尺でサイズを測ろうとしたとたん、手のひらに焼け火箸・・・・

 なんじゃこいつ胸鰭にも毒持っとんかい、と騒いでも後の祭です。生半可な知識がこういう悲劇を生むことになるのです。毒魚に対しては、最善の注意を払って当然だったのに・・・・とにかく猛烈な痛みと、かなりの出血でしばらく釣り中断は当然のこと、子供の信頼感が音を立てて崩れていくのが分かります。
 まあ毒魚に対しての正しい接し方と、不注意が招く不幸の現実を身をもって教えたと考えれば、痛みも少しは・・・・変わりません。

 この親子についても、何処の親子のことであるかは別にして、

”毒魚、釣れたらすぐに糸を切る”

これ鉄則です。
 ちなみにアイゴの毒は死んでも消えません。釣れたアイゴは生きているうちに丁寧に海へ帰しましょう。その辺に転がしておくと、知らない人が触って怪我をすることになります。これって大げさに言うと未必の故意による犯罪です、傷害罪と一緒です。
 それからもし無謀にも、家へ持って帰って食べるなんてことを考えたのなら、ひれを全部切ってからにしましょう。そして切ったひれもきちんと始末しましょう、毒が残っています。けっしてその辺に捨てないように!!それともう一つ、頭と内臓をきれいに取ってしまいましょう。それもできるだけ早めに。内臓から臭みが出ます。でも食べてもおいしくないですよ。一部では何よりおいしいという地方もあるそうですが、時季と調理法に依存していそうです。
 どなたかアイゴのおいしい食べ方をご存知なら、是非ご伝授下さい。

 また間違って魚拓を取ろうなんて考えているなら、やめた方が良いです。この魚の体表にはウロコがなく、つるつるしています。そうアジ・サバのような感じでしょうか。従って魚拓は真っ黒でべたーっとした物しかできず、非常に汚い物になりますので、ほんとやめた方が良いです。

一つ前に表示したページへ     雑談選択へ     トップメニューへ