釣りに行って何が辛いといって暑さ・寒さもありますが、何よりいやなのは痛い思いをすることです。滑って転んで擦り剥いたり、指を脱臼（２０００．１２．０８釣行記参照）したり、結構いろいろと痛い思いをします。
　まあ大抵は自分の不注意であったりで、反省こそすれ誰かを恨むこともありません。しかし恨んでも憎んでもどうしようもなくても、それでも憎たらしいやつがいます。その一番は磯ブヨでしょうか。

　この磯ブヨ、正式名はイソヌカカという変てこな名前ですが、とにかくブヨなんです。温かくなるころから磯場に出没し始め、真夏の風のない時などは最悪です。何が嫌だってあんたこいつに喰われてみなさい、腫れるわ痒いわでたっぷり２〜３週間は楽しめますよ。
　家の女房なんか昔はよく子供も連れて一緒に釣行してたんですが、何時からか磯ブヨの集中攻撃を受けるようになって、足が象のようになったのを最後に、それ以来釣りの"つ"の字も言いません。

　なぜか刺されやすい人とそうでない人がいて、また刺されても何でもない人とモノゴッツウ腫れる人とがいます。私も刺されますが、わりと平気な方ですので今でも釣りを続けてます。またアレルギーに関係しているのでしょうか、家の女房のようにある時からだんだんひどくなることもあるようです。

　とにかく磯場へ釣りに行くときには、虫除けをしていった方が良いですね。風のないときは特に要注意です。それと真夏でも長袖に長ズボンが良いですよ。短パンとか海パンとかでのんびりやってると、運が悪いと翌日から足が象になり、２〜３週間もの間ジンジンとした強烈なかゆみに悩まされますから。それが快感という人にはもってこいです。また跡も残りますから女性の方は特に用心したほうがいいです。

　磯ブヨも嫌ですが、他にも強敵がいます。蜂（ハチ）君なんてのも困りものですね。でも彼らはこちらから手出しをしなければ何にもしませんから、その点非常に紳士的です。まあ磯ブヨに比べての話しですけどね。磯ブヨにしてみれば我々は餌ですからね。餌がくれば食べますよねぇ、誰でも・・・・

　この紳士的な蜂君も餌がかかるとかなり強暴になります。その餌が人間と競合した時が悲劇です、釣り場では大抵人間の負けで終わります。何しろ凶器を持ってますから。まあ普通は人間と蜂君の餌が重なることは少ないですから、悲劇もそうそう起こるものではありませんが、過去に一度だけこの悲劇に遭遇したことがあります。
　あれはたしか夏が終わって、涼しい風が吹き始めたころだったと思います。そう、待望の秋磯のシーズン直前でした。

　この日も２０〜２４ｃｍぐらいのメジナがガンガン釣れていて、持参した餌があっという間になくなってしまい、何か餌の代わりになる物はないかとあちこちを物色していたとき、キャンプの名残でしょうか焼きイカの残骸があるのを発見しました。こういう状況なら何を餌にしても釣れるだろうと思い、早速試してみるとこれがまた釣れる釣れる。しかも餌もち抜群！！一回付ければ５匹は釣れる。これはまさしく魔法の餌だ・・と感激しながら数釣りを楽しんでいました。

　その時です、何処からともなくあいつがやってきました。前日の名残の焼きイカですから、結構いい匂いがしていたのでしょう、蜂君がやってきたのです。彼の狙いは一つ、私の見つけた焼きイカです。私としても魔法の餌ですから、そうそう簡単に手渡すわけにはいきません。なんとかお引き取り願うように丁重におもてなしをしていましたが、一向に引き下がる気配がありません。そこでちょっと強硬に拒否の姿勢を見せたところ
蜂君の逆鱗に触れてしまったようです。

　チクリとかそんな生易しい痛みではありません。ズキンとかドカンとかバキューンとかいった強烈な痛みが指に走り、思わず「イテーナこのやろう！！｣と本気で怒ってしまいました。まあ相手が蜂君ですから本気になってもしょうがないんですが、それほど痛かったんです。まあ蜂君にしてみれば、生きるための糧ですから死んでも渡さない覚悟だったんでしょう。その覚悟に免じて、特別に焼きイカを半分だけくれてやりました。はっはっはー（笑ってなしゃ-ない）

　この一戦はあっけないほど簡単に蜂君の勝利に終わりました。人間なんて図体はでかいけど、てんで意気地がないものです。
　いやいや自然との共存、環境保護、動物愛護の見地から、山分けという最善の道を選択できた人間こそ偉かった・・・と思っておきましょう、この際。（初めから折半するのが真の愛護精神、独り占めにしようとするからバチがあたった)

　しかし、釣り場にはこの他にも強敵がいっぱいいますよ。コマセを狙うカニ、ウミネコ、鳩、それに獲物を狙うウツボ、トンビ、イタチ・・・はあんまりいないかな、また弁当を狙うカラス、猫、犬、猿・・・もあんまり見かけないですが、あとは別に何にもしないけどなんか気持ち悪いフナムシとか・・・
　これらともしっかり戦いを演じていますので、その戦いの記録もいずれ書いてみようかと思ってます。